野球場のフェアゾーンの面積を概算する方法
野球場のフェアゾーンは一見中心角90度の扇形のように見えるがそうではない。
多くの球場は両翼の距離が短く、中堅や左右中間の距離が長くなっている。
両翼、中堅、左右中間についての意味は下記の通りである。
- 両翼:ホームベースから一塁線(三塁線)から右翼(左翼)のフェンスまでのこと
- 中堅:ホームベースから二塁を通ってセンターフェンスまでのこと
- 左右中間:ホームベースから右翼(左翼)と中堅の中間に位置するフェンスまでのこと
本記事の目的
両翼、中堅、中間の距離が異なる野球場のフェアゾーンの面積を簡便に概算する式を得ることである。
なお、フェアゾーンが左右対称でない場合については考慮しない。
先に結論
左右対称な野球場のフェアゾーンの面積は、
両翼と中堅と中間の3つの距離の平均を半径、中心核を90度とした扇形の面積
円周率 × {(両翼 + 中堅 + 中間) ÷ 3}^2 ÷ 4
によりおおよその値を求めることができる。
方法と計算結果
実在の球場の中堅、両翼、中間の大きさの値を利用してフェアゾーンの面積を概算し、それと実際の面積との誤差を求めた。
データはYAKYUJO.com様から引用した。
下記3種類の方法で計算した。
1. 単純に両翼の距離を半径、中心核を90度とした扇形の面積を求める
円周率 × (両翼)^2 ÷ 4
2. 両翼と中堅のの2つの距離の平均を半径、中心核を90度とした扇形の面積を求める
円周率 × {(両翼 + 中堅) ÷ 2}^2 ÷ 4
3. 両翼と中堅と中間の3つの距離の平均を半径、中心核を90度とした扇形の面積を求める
円周率 × {(両翼 + 中堅 + 中間) ÷ 3}^2 ÷ 4
明治神宮野球場の場合
両翼: 120 m、中堅: 97.5 m、中間112.3 m、フェアゾーン面積: 9679 m^2
1の値: 7466 m^2 (誤差22.9%)
2の値: 9289 m^2 (誤差4.0%)
3の値: 9492 m^2 (誤差1.9%)
3の値は誤差が2%未満だった。
東京ドームの場合
両翼: 122 m、中堅: 100 m、中間110 m、フェアゾーン面積: 9692m^2
1の値: 7854 m^2 (誤差19.0%)
2の値: 9677 m^2 (誤差0.2%)
3の値: 9619 m^2 (誤差0.8%)
3の値よりも2の値のほうが誤差が小さい結果となったが、3の値の誤差は1%未満である。
上記も含めた各球場の1, 2, 3の値とそれぞれの誤差を下記表に示す。
甲子園球場を除き、3の値の誤差は4%以内となった。
2の値のほうが3の値より誤差が小さい場合もあるが、概算を出すだけであれば3の値で十分だろう。